ゆうあい会土屋記念クリニック院長の石田先生と、理事長:片山の対談の第3回です。
ここ数十年で、肝臓病の診断や治療は本当に進歩しました。その話になると大学病院の最前線で「肝臓」に取り組んでこられた石田先生の目が急に輝いてきました。
【第3回 肝臓病の治療法の劇的な進歩】
石 田 エコーの続きですが、入院中の『肝臓がん』の患者さんとか。要は、自分で針をさして治療することがありますので、そういった人達は自分で診ていました。
片 山 PEIT(経皮的エタノール注入療法)ですか?
石 田 PEITやラジオ波焼灼療法ですね。
片 山 今は、何が主流ですか?
石 田 今は、早期は、当然外科手術ですが、高齢者だったり、手術の適応にならない人は、早期のものは、「ラジオ波焼灼療法」ですね。適応にならない人は、カテーテルやったりとか、あとは分子標的治療がすごい発展しているので、結構、飲み薬を早期から導入してしまっていますね。
片 山 大きくならないですか?
石 田 大きくならないです。非常によく効きます。
片 山 肝臓の治療は、劇的に変わりましたよね?
石 田 変わりました。ここ数年で。分子標的治療がでてきてからだいぶ変わりました。
片 山 先生が大学に入られたときに、C型肝炎ってありましたか?
石 田 ありましたね。
片 山 私が大学入ったとき、『非(non)A(non)B肝炎』といわれていて、HIVも『HTLV』の一種としか分かっていなかったので、その後どんどん名称が変更になっていきましたね。『非A非B型肝炎』といわれていたものの一つが私の大学在学中くらいに、『C型』と言われるようになりましたね。
石 田 C型肝炎もずいぶん治療がよくなりましたね。
片 山 「インターフェロン」、一本でしたもんね。最初は・・・。
石 田 そうですね。僕が研修医レジデントの頃までは、「インターフェロン、リバビリン併用療法」というのがあって、ウイルス1b型タイプだと、本当に、1年間治療しても、治るのが3~4割でしたね。毎週のように、注射して、発熱して、・・・、かわいそうな治療でしたね。
片 山 自殺者も・・・・。
石 田 そうですね。精神症状出て、自殺してしまう人も出て・・・。(副作用で・・・)
片 山 だいたい、「インターフェロン」て、風邪ひくと『うつ』になるじゃないですか。風邪ひくと熱が出て、熱が出ているから『うつ』になるというよりは、「インターフェロン」がでて、その「インターフェロン」が、『うつ』にするんですよ。「インターフェロン」が熱を出して、熱がウイルスをやっつける、という働きもあるのですが、一方で、自分が出している「インターフェロン」の副作用で『うつ』状態になるんです。風邪ひくとつまんない風邪でも“このまま死ぬのではないか。”と思うじゃないですか。医者でも。医者でも思いません?
石 田 う~ん、結構そう思います・・・。
片 山 風邪ひくと、“これは、悪い風邪で、このまま死ぬのではないか。”
石 田 熱が、38度、39度でると思います。
片 山 あれは、たぶん、「インターフェロン」のせいなんですよ。それを、毎回、毎回うたれていたら、やっぱり、くたびれるよね。C型肝炎の患者さんは・・・。
石 田 それが、本当、ここ数年で飲み薬「DAA(経口内服薬の直接作用型抗ウイルス薬)」を8週間で9割5分以上の方が治る。副作用ほぼなしですね。『C型肝炎』は、ほとんど治る病気になりましたね。
片 山 『肝がん』はなくなりますね。
石 田 そうですね。最近では、『NASH(脂肪肝・非アルコール性脂肪性肝炎)』が今、増えていますね。
ウイルス由来の『肝がん』は少なくなりそうですね。
<土屋記念クリニック 石田 仁也院長 略歴>
東京都出身
1995年3月 ラ・サール高等学校卒業
2004年3月 熊本大学医学部医学科卒業
2004年4月~2006年3月 東京慈恵会医科大学附属第三病院研修医
2006年4月~2007年3月 東京慈恵会医科大学附属病院内科レジデント
2007年4月~2008年3月 国立病院機構西埼玉中央病院 消化器科
2008年4月~2010年10月 東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科
2010年11月~2013年3月 国立病院機構西埼玉中央病院 消化器科
2013年4月~2020年3月 東京慈恵会医科大学 内科学講座 消化器・肝臓内科助教
2020年4月 医療法人社団ゆうあい会 理事就任
2020年4月 医療法人社団ゆうあい会 土屋記念クリニック院長就任
〇資格〇
日本内科学会 認定内科医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本医師会 認定産業医
難病指定医